定点観測用プランターのその後

 今年の3月に「定点観測」と題しまして、我が家のベランダに置いたプランターの話をしました。世の皆様方がするように美しい草花を育てているのではなく、雑草が生えるままの”放置プレー”を楽しんでいる(笑)、という話でした。
 で、その定点観測用のプランターですが、その後、私の予想外の事が起きてしまいました。今日はそのご報告をしたいと思います。





 まずは、これが3月に記事を書いた時点での定点観測用のプランターの様子なのですが、、、
*2020年3月19日の「定点観測用プランター」
3月ベランダの花-03_19_2020-002 (1024x768).jpg
 私の狙い通りスミレの花盛りとなったものですから、嬉しくて写真を撮って記事にした訳です。
 で、4月一杯までは、スミレの花の数も種類も増えて、私の予想通りだった訳です。
 予想と違う事が起き始めたのが5月に入った頃からでした。私の予想は、カタバミやヘビイチゴがコロニーを広げ、その合間にタネツケバナやコハコベが茎を伸ばし、やがてコハコベの茎やヘビイチゴの匍匐枝がプランター一面を覆うようになる、というものでした。そして、5月下旬ごろにはオニタビラコやコウゾリナ等のキク科の背の高い草がその間から茎を伸ばすはずでした。
 しかし、5月初めごろから、私が予想していなかったものが花を咲かせ始め、あれよあれよという間にその植物の細い茎は多数分岐して横に伸び、5月中旬にはプランターの半分以上を覆うようになったのです。
   ・この写真は6月初めに撮ったものですが、こんな感じです
P6月ベランダのプランター-06_07_2020-002 (1024x768).jpg
 この予期せぬ闖入者が何者かと言うと、「コゴメツメクサ(コメツブツメクサ、キバナツメクサとも言う)」という、マメ科シャジクソウ属の一年草でした。
*コゴメツメクサのアップ
6月ベランダのプランター-06_07_2020-004 (1024x768).jpg
 このコゴメツメクサは去年までは私のプランターにはありませんでした。一年草ですので、根が残っていたとは考えられません。種子が土の中で休眠していたか、鳥が運んできた、と考えられます。たぶん、後者なのではないかと思います。
 しかし、こんなに繁茂するとは想像していませんでした。
 このコゴメツメクサは、ヨーロッパから西アジアが原産国ですが、アメリカ大陸、オーストラリア、アジア大陸に広く分布する外来種の雑草です。日本には大正時代に侵入していたらしいのですが、頻繁に見られるようになったのは戦後の事です。私は、公園の芝生などで、シロツメクサのコロニーに混じって咲いているのを何度か見ています。しかし、そこでは大規模なコロニーにはなっていませんでした。なので、ここまで繁茂するとは想像していませんでした。いずれコハコベやヘビイチゴとコロニーを分け合って混生するものと思っていました。意外でした。

 で、何時頃これが私のプランターに侵入したのだろう、という事が気になりまして、以前の写真を精査して見たのですが…
 すでに3月の時点でこれが侵入していたことが分かりました。最初のプランターの写真にコゴメツメクサの子葉や第3~4葉が写っていたのです。
   ・コゴメツメクサの子葉と第3、4葉
P2IMGP0077.JPG
 子葉はよほどの専門家でないとコゴメツメクサのものと分からないのですが、第3葉位になりますと、「3出複葉」が特徴的ですので、或る程度の見当が付きます。これに気付けなかった私はマヌケです。
 ま、このコゴメツメクサが初出葉の時に、すでにスミレは花が咲いて葉を大きくし始めていましたし、コハコベやヘビイチゴ、カタバミも茎や葉を広げ始めていました。なので、この小さな芽はやがてそれらに覆われて姿を消すだろう、と高をくくっていたことは否めません。そして、コゴメツメクサの繁殖力がこんなにも強いとは夢にも…

 このコゴメツメクサは5月半ばを過ぎるころにはプランターをはみ出し、ベランダの床から垂れ下がるまでになりました。下の階の方にご迷惑をかけてはいけませんし、来年もスミレの花を見たかったので、6月に入った所で若干刈込をしました。それでも、今でも伸び続けています。すごいもんです。





 意外だったもののもうひとつはこれです。
*現在の「定点観測用プランター」
6月ベランダのプランター-06_07_2020-001 (1024x768).jpg
 この、白い花が咲いている背の高い植物が、もうひとつの”予想外”でした。
 これは最近撮った写真ですので、花が咲いてますし、実は果実も出来始めています。ここまで来ると、もう同定も容易いです。これは「ホオズキ」ナス科ホオズキ属の一年草、もしくは多年草です。
*ホオズキの花
6月ベランダのプランター-06_07_2020-010 (1024x768).jpg
 (ホオズキの花はうつ向いて咲きますので、撮影しやすいように手で上を向かせています)

 この若芽に気付いたのは4月中頃でした。もう本葉が出て、草丈も4~5Cmになった頃です。見慣れない芽が出ているなあ、なんだろう? と、しゃがみこんでじっくり観察しました。その時は、ナス科の植物の様だし、ワルナスビあたりの種が紛れ込んだか? と、思い、そのまま経過観察をする事にしました。ワルナスビと確定した辺りで除去するつもりでした。ワルナスビは有毒植物ですし、トゲがあるので、その後のプランターの観察にも支障があるからです。下手をすると、プランター全体を占拠されてしまうほどの生命力もありますしね。
   ・参考:ワルナスビの全草と花
       2016年7月7日、勾当台通にて撮影

7月勾当台通-07_07_2016-042 (1024x683).jpg
7月勾当台通-07_07_2016-048 (1024x683).jpg

 ワルナスビじゃなさそうだ、と気づいたのは5月に入ってからでした。茎が10㎝メートルを超えるようになった頃です。ワルナスビの茎は、節毎に曲がり、ジグザグ状に伸びます。また、茎の色は黒みを帯び、まばらにトゲが生えます。しかしこれは真っ直ぐで、黄緑色の茎でした。トゲもありません。この時点でホオズキの仲間のいずれではないか、という推測が出来ました。あとは花が咲くのを待ち、確かめるだけでした。
 花を見つけたのは5月下旬でした。最初は小さな花でしたので、種を確定するまでの自信は無く、とりあえず、ワルナスビなどのナス属ではなく、ホオズキ属のいずれかであろう、という事は確定できました。花弁が捲れあがっていなかったからです。標準種のホオズキと確定できたのは6月の初めです。大きくなった果実を見つけたことで確定が出来ました。
*ホオズキの果実
6月ベランダのプランター-06_07_2020-007 (1024x768).jpg
 よく似ているヤマホオズキやヒロハフウリンホオズキとは果実の形が異なりますね。この時には花の大きさも標準の大きさになっていましたし、ガクの形状や、葉の形状の比較も出来るようになっていましたので、確信を持って同定が出来ました。
   ・参考:ヒロハフウリンホオズキ
        2017年7月4日、細横丁で撮影

7月細横丁-07_04_2017-020 (1024x768).jpg


 しかし、何で今年になってこのプランターにホオズキが咲いたのだろう?
 そんな疑問が沸いてきました。私が最初に用意した”種土”は北山から持ってきたものだったのですが、その辺りにはホオズキはありませんでした。また、その時から6年以上たっています。その種土が原因とは考えられません。考えられるのは鳥が運んできた、ということなのですが、、、
 我が家のベランダには、昨年秋から冬の間、スズメやヒヨドリがよく来ていました。餌の少ない晩秋~冬の間、このプランターに残っていたエノコログサやスズメノカタビラの種子を食べに来ていたのです。
   ・参考:エノコログサ
        2016年7月7日、勾当台通にて撮影

7月勾当台通-07_07_2016-034 (1024x683).jpg
   ・参考:スズメノカタビラ
        2014年3月28日、北四番丁にて撮影

3月北四番丁-03_28_2014-007 (1024x576).jpg
 彼らがホオズキの種を運んできたのでしょうか?
 しかし、スズメやヒヨドリがホオズキの果実を食べる姿を私は見たことが無かったのですが、、、

 3~4日、この事を考えながら鬱々としていたのですが、この事を解決してくれたのは母でした。或る日、このホオズキの花を1本切って、一輪挿しに飾っていた時、
 「その花、どこから持ってきたの?」
と、聞かれたので、件の疑問を母に話したのですが、それに対する母の答えが、
 「あんた、去年○○さんから頂いたホオズキの実をプランターになげて(捨てて)いたじゃない」
でした。
 あ~?
 そうだったけ?
 ・・・・・・
 そういえば・・・、
 いただいたホオズキを切り花にして飾る時、余分だった実をいくつか切り落として、1個だけでしたが”袋”を剥いてプランターに置いたのでした。この頃ベランダに来ていたヒヨドリがホオズキの実を食べるかどうか試してみよう、という、ほんのいたずら心でした。すっかり忘れていました。
 しかし・・・、予想外に私の記憶力は落ちている。予想外に母は記憶力が達者だ…
 と、このホオズキも、私が捨てたたった1個の果実から7~8株が芽を出したのですね。すごいですね。驚いた。





 一般に、フィールドではこの様なドラスティックな変化というものは、よほどの大規模な環境破壊が無いとまず起こりません。種の数が多く、そのバラエティーが富んでいるために、相互作用によって劇的な変化へのベクトルが抑制されるからです。しかし、私のプランターの様に、狭い、単純な自然相では簡単にこのような劇的な変化が起きてしまいます。改めて「種の多様性」の意味を考えさせてくれました。良い勉強になりました。





Note:
 ・コゴメツメクサ
 本文にも簡単に記しましたが、コゴメツメクサには「コメツブツメクサ」、「キバナツメクサ」の別名があります。一般に、図鑑等では「コメツブツメクサ」の名が採用されていることが多いです。コゴメツメクサは、「小米詰草」の意味です。
 コゴメツメクサにはよく似た近縁種が二種あります。ひとつめが「コメツブウマゴヤシ」、もうひとつが「クスダマツメクサ」です。両者共に外来種です。
 この三種の判別については、いずれまた機会を見つけてしてみたいと思います。(手持ちの資料写真が少ないので…)



 ・ホオズキ
 このホオズキの成長を観察して分かった事で、図鑑等には書かれていないことについてちょっと書いておこうと思います。
 先ずひとつ目は、ホオズキの花はかなり長い間咲いている、という事です。1個の花もそうですが、個体全体でもそうです。
 ホオズキは葉の葉腋に花芽を付けるのですが、茎の下から上に向かって順番に花が開いて行きます。最初の花が開いてから茎頂部の花が開くまで、おおよそ2か月位かかります。
 1個の花についても、おおよそ二週間前後開いたままです。最初は16~18㎜の小さい花なのですが、開いたままで成長し、最終的には25㎜位になります。
 ホオズキは虫媒花だと思うのですが、受粉せずに終わった花は花柄の根元からはがれて落ちるようです。
    <受粉せずに落ちた花>
6月ベランダのプランター-06_07_2020-012 (1024x768).jpg
 無事受粉出来た花は花冠が抜け落ち、花柄にガクが残ります。
    <受粉して花冠が抜け落ちた花>
6月ベランダのプランター-06_07_2020-016 (1024x768).jpg
 これは大きな図鑑等には書かれているのですが、この残ったガクが成長し、子房を包んで、あのホオズキの特徴的な”袋”になります。

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この記事へのコメント

2020年06月12日 22:12
こんばんは!
あきあかねさんのお母さまを尊敬します(#^.^#)
凄い!スパ-記憶力のお母さまです🏆

みなとは、定点観測用プランターのその後・・って
なんだっけ?と前のブログに行って初めてあっ!これの事だった。。と
解り、気持ち玉を確認して初めて確信しました。( ;∀;)
本当に記憶がなくなり、はづかしいです。

あきあかねさんの趣味研究は、間口も広く色んな分野
多岐にわたって「この字が間違っているかな??」いて
じっとして居られない日々ですね。
今までブログで色々な方に逢いましたが
みなとの知る限りでは、特異!一種独特な物知りさんです👏




2020年06月13日 08:51
みなとさん、おはようございます。

 こんな母ですが、やはり歳相応の記憶力の衰えはありまして、例えば、さっき靴下をはかせて、ちゃんと今はいている状態なのに、私に向かって靴下はかせてちょうだい、とか言ってきたりします。
 このような、今したばかりの事を忘れてしまう、という事は私にもある事で、気を付けている事なのですが…
 思うに、忘れやすくなった、というよりも、記憶しにくくなった、という事なのだと思います。一つ一つの動作に対して意識の集中力が薄れていることが原因のように思います。なので、私は日々身の回りに起こる事の意味や仕組みに興味を持つように心がけています。それが少しでもボケ防止に役立つのではないかと思うからです。
 と、いうことで、私の”特異な探究心”はボケ防止対策から来ています(笑)。