夏も近づく

 「八十八夜」はとっくに過ぎてしまったのですが…
 仙台では、「青葉まつり」が過ぎますと、おおむね初夏と呼べるような季節になります。今年はコロナ禍で中止になってしまいましたが、16,17日がその予定でした。
*昨年の「青葉まつり」のワンシーン
  (神輿の「宮出し」)

5月北七番丁・青葉まつり宮出し-05_19_2019-025 (1024x768).jpg5月北七番丁・青葉まつり宮出し-05_19_2019-014 (1024x768).jpg
 そんな今年に少し寂しく思いつつ、先日買い物に出かけた街中で「初夏の兆し」を探してみました。







 まず最初に見つけたのはこれでした。
*ナデシコ(Dianthus Sp.)
5月北四番丁通-05_18_2020-064 (1024x768).jpg5月北四番丁通-05_18_2020-066 (1024x768).jpg
葉の形状や付き方から「カワラナデシコ」で良いと思うのですが、花弁の切込みが浅いので園芸品種の一つかもしれません。とりあえず「ナデシコ属(ダイアンサスの一種)」としておきました。
 ナデシコ(カワラナデシコ)は秋の七草の一つなのですが、花期は長く、6月下旬から10月初めごろまで見られます。それにしても、この個体は早いですね。
 先週まではこうした夏の花は見かけなかったのですが…
 何か他にも咲いているだろうか?



 次に目を付けたのはここでした。
5月細横丁-05_18_2020-073 (1024x768).jpg
 看板の後ろのアジサイはまだまだだったのですが、、、
 こんなものが咲いていました。
*シラン
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*ムラサキツユクサ
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 まだ最初の蕾だけが開いた所でした。

 シランの花期は、仙台では5月~6月です。今年は少し遅いのかな?
 ムラサキツユクサの花期は5月~11月と長いです。写真にも見えていますように、茎の頂端に沢山ついています花蕾が、半年かけて順繰りに開いて行きます。



 以前、場違いな所に咲いたカリンの花のお話をしましたね。近くですので、その後どうなったか見てみました。
*カリンの木
5月細横丁-05_18_2020-090 (1024x768).jpg5月細横丁-05_18_2020-087 (1024x768).jpg
 花が終わって、実が大きくなり始めています。
 カリンはバラ科なのですが、この写真でそれがよく分かりますよね。いわゆる「バラ状果」の特徴が良く現れています。
 この写真のどこにその「バラ状果」の特徴が表れているのか、という事について、下に図を示して説明してみようと思います。
 
 「バラ状果」の説明は、上の文に貼り付けたリンク先に詳しいですので、ここでは簡潔に書きます。まずは、カリンも含めたバラ科の花の構造を下に模式図で示します。
   ・バラ科の花の模式図
子房周位_0001.jpg
 この図は、見やすくするために雄蕊を省略して書いています。
 バラ科の花は、上から見ると、雄蕊や雌蕊は見えますが、子房は見えづらくなっています。筒状になった花床の奥に子房が収まっているからです。この筒状になった花床を「ガク筒」等という事もあります。この様な花の構造を「子房周位(しぼうしゅうい)」と言います。
 バラ科の花が受粉して発生が始まると、子房とこのガク筒が肥大し始めます。上の写真がその時期の写真です。上の写真に、その内部構造の写真を貼り付けてみました。
   ・カリンの果実の内部構造
P5月細横丁-05_18_2020-087 (1024x768).jpg
 先ほども言いましたように、バラ科のカリンの花は子房を花床が包んでいますので(ガク筒)、内部の種様の物が本来の果実で、果肉様の物は花床が肥大した物です。
 で、カリンの偽果は、ガク筒が肥大して出来るものですので、肥大し始めはこの様に、まだ細長い姿をしています。この辺が真果である蜜柑やブドウと成長過程の姿が異なります。
 また、この写真の偽果の先端には花被(花弁とガク片)の痕跡が残っています。これもカリンの花が「子房周位」である事の表れです。つまり、花被の下部のガク筒が肥大して果実(偽果)になった、という証拠です。





 駐車場のフェンス際にはこんなものが咲いていました。
*アメリカフウロ
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 北アメリカ原産、フウロソウ属の外来種です。花期は5,6月で、果実が出来るのもほぼ同時期です。と、いうのも、花が終わるとすぐに結実するからです。このアメリカフウロの巧妙な種子散布については以前お話したことがありましたね。

 アメリカフウロにとてもよく似た「オランダフウロ」という花も同じ時期に咲きます。
   ・オランダフウロ
      2017年6月北山にて撮影

6月北山裏山-06_18_2017-234 (1024x683).jpg
 花だけ見ると全く同じと言ってよいアメリカフウロとオランダフウロですが、この二種は葉の形状で見分けがつきます。アメリカフウロの葉は3~5裂の掌状深裂ですが、オランダフウロの葉は奇数羽状複葉です。上の二枚の写真の葉を見比べてください。
 オランダフウロも外来種で、ヨーロッパから西アジア辺りが原産国です。




 アメリカフウロと同じ場所にこんな花も咲いていました。
*ブタナ
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 これもヨーロッパ原産の外来種で、日本では原っぱや道路脇でごく普通に見られます。花期は6月~9月です。なかなかしたたかな外来種ですので、時には以下の写真の様な大群生することもあります。
   ・ブタナの大群生
       2017年6月、北山で撮影

6月北山裏山-06_18_2017-252 (1024x683).jpg
 花だけ見ると、タンポポやコウゾリナなどによく似たキク科の植物ですが、葉が付いていないひょろ長い花茎や、特徴的な根生葉でそれと直ぐ分かります。




 この花も、私が長いこと掛かって撮影している花なのですが、、、
*ヤエムグラ
5月細横丁-05_18_2020-100 (1024x768).jpg5月細横丁-05_18_2020-104 (1024x768).jpg
 ようやく状態の良い花に巡り合えたのですが、この時持っていたカメラがポケットカメラでしたし、片手には結構重い買い物袋を抱えていましたので、思ったほど良い写真にはなりませんでした。

 ヤエムグラ(八重葎)と言いますと、小倉百人一首第47番の恵慶法師の歌、
 『八重葎 しげれる宿の さびしきに  人こそ見えね 秋は来にけり』
があり、秋の花のように思われがちなのですが、花期は4月~6月です。古代における「八重葎」は、必ずしも、種「ヤエムグラ」とイコールではないからですね。「葎(むぐら)」とは、つる性の雑草の総称で、それが「八重」に生い茂っている、或いはそのように生い茂った植物、という意味です。なので、和歌の世界では「八重葎」イコール「ヤエムグラ」ではない、という事です。
 ちなみに、別のアサ科ですが、「カナムグラ(鉄葎)」という蔓性植物の花期は9月~10月で、上の恵慶法師の歌に合います。




 今は丁度春から夏にかけての端境で、見つけた花々は、ナデシコを除けば夏を思わされるようなものは見つかりませんでした。でも、私はこんなもので夏の到来を感じました。
*スズメノチャヒキ
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5月細横丁-05_18_2020-127 (1024x768).jpg
 こうしたイネ科の背の高い雑草が街中で見られるようになると、もう”夏草”の時期なんだなあ、と思わされるのです。

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