仙台のカラス

 私のブログでは野鳥の写真も度々出しています。しかし、カラスは都会の野鳥の代表ともいえる存在でありながら、その写真はほとんど載せていませんでした。ま、それはひとえに「カラスは映えない」からなのですが(笑)・・・
 前回、「カラスと紫外線」の話を書いている時にそのことに気付きまして、この際、この可愛そうなカラスの為に一文作るか、と言う気になりりました。
 と、いうことで、今回は仙台のカラスたちのお話です。





1)カラスの巣のお話し
 先日、拠無い用で街に出ましたら、頭の上で何やらカラスが騒いでいました。
   ・街路樹のケヤキが芽吹き始めた「勾当台通」
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 視線を上に向けまして見まわしてみましたら、ケヤキの樹上に巣を見つけました。
4月勾当台通・北三番丁付近-04_17_2020-006 (1024x768).jpg
   ・カラスの巣
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 巣からはみ出した尾羽らしきものも見えます。
 カラスの営巣期間は4月~5月で、産卵は4月頃に行わられ、抱卵期間は約20日間、孵化した雛は1ヶ月程度で巣立ちます。ちょうど今頃が抱卵期~孵化期です。

 で、この勾当台通ですが、ここのケヤキの木には毎年カラスが営巣します。それも2~4か所。
 近くにはもっとケヤキの木が多い定禅寺通もあるのですが、そちらに巣を設けるカラスは少なくて、せいぜい1,2基です。何故なのだろうと、長い事疑問だったのですが、最近その理由が理解できるようになってきました。
 たぶんですが、カラスは独立した木、つまり、隣との空間が開いている木を選んで巣を作っている様なのです。枝伝いにヘビなどの外敵が襲ってこない、仲間同士の諍いを避けられる、見通しが良いので離れていても巣の様子が確認できる、等の利点があるのでしょう。その点では勾当台通のケヤキ並木はうってつけでして、冒頭写真の様に1列で、木と木の間隔も10m以上開いています。定禅寺通のケヤキ並木の方は4列で、頭上の枝は重なってドーム状になっています。この違いが、そうした好みの違いになっているのでしょうね。


 ちなみにですが、繁殖期以外の仙台市街地のカラスのネグラは、概ね二方面にあります。仙台市街地の西部、大年寺山と青葉山・経ヶ峰辺りがその一方面。もう一方は、市街地の北部、北山、水の森、台原辺りです。夕方、日暮れ頃にこの二方面に分かれて帰るカラスの群れが見られます。仙台駅・アエルの屋上や大年寺山の某テレビ局の情報カメラにその姿が写る事もしばししばです。





2)仙台の街中のカラスたち
 私が使っているフィールドガイド「日本の野鳥」という図鑑には、カラス属の鳥は6種類載っているのですが、都市部で良く見られる、いわゆる「カラス」は、「ハシボソガラス」と「ハシブトガラス」の二種に限られるでしょう。この二種共に、日本全土で普通に見られる留鳥です。
   ・ハシボソガラス
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   ・ハシブトガラス
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 元来、「ハシボソガラス」は低山や人里に住み、「ハシブトガラス」は森林に住むカラスだったのですが、近年「ハシブトガラス」の都市部への進出が顕著になってきまして、分布域も広がっています。特に、東京等、大都市圏では「ハシブトガラス」の方が全域で優勢になっているようです。


*note:「ハシボソガラス」と「ハシブトガラス」の見分け方
   ・写真奥ハシブトガラス、手前ハシボソガラス
10月国際センター-10_31_2017-048.JPG
 ハシブトガラスの方がやや体が大きいのですが、こうやって並んでも分かりにくいですよね。
  比較的容易な見分け方は、以下の2点です。
   ・見分け方の解説図
Pハシボソガラス、ハシブトガラス_0001.jpg
 ①額:ハシボソガラスはなだらか、ハシブトガラスは急角度で額が立っている
 ②嘴:ハシボソガラスは細め、ハシブトガラスは太く、上嘴の湾曲が大きい

 この他にも、ハシボソガラスの鳴き声は濁っていて、ハシブトガラスの鳴き声は澄んでいる、とかの違いもあるのですが、分かりやすいのは上の2点だと思います。


 で、仙台の市街地のカラスですが、こちらでは今だに「ハシボソガラス」が優勢です。
 二十年位前までは、仙台の市街地で見るカラスはほとんどすべてが「ハシボソガラス」で、「ハシブトガラス」は青葉山の西、秋保や愛子、作並ぐらいでしか見かけませんでした。
 でも、最近は、北山や台原等でもちょくちょく見かけるようになってきていますし、街中でもたまに「ハシブトガラス」を見かけるようになってきました。

 「ハシブトガラス」の都市部への進出の理由なのですが、それが何故近年になって顕著になったのか、という理由も含め、はっきりしたことは分かりません。
 ただ、いくつかの推測は出来ます。
 先ず食性は、「ハシボソガラス」、「ハシブトガラス」両者共に雑食です。目新しい、初めての食物でも躊躇せずに試してみる順応性(好奇心?)も持っています。都会に順応できる能力をはじめから持っていたと言えます。都会では毎日大量の残飯・”ゴミ”が出ますので、山里よりも高効率で高カロリーを得ることが可能な訳です。
 もうひとつは、山よりも都会の方が天敵(卵や幼鳥を狙う猛禽類や蛇、イタチ等の動物)が少なかった、という点です。
 さらに、これは近年「ハシブトガラス」も都市部に増えてきた理由になるのですが、都市部には近年高い建物や、背の高い街路樹が増えてきた、という事も挙げられると思います。
 同様の習性を持つ他の鳥類もありますが、カラスは高い位置に止まって地上の餌を目で見て物色します。その際、見晴らしの良い建造物や街路樹はうってつけの”止まり木”なのです。本来は森の中で身に着けた習性だったのでしょうが、都会の方が効率的に行えることに気付いたようです。





3)カラスの「くるみ割り行動」
 これはカラスの賢さの例としてよく採り上げられるものなのですが、似た行動はカモメなどの他の動物でも見られます。胡桃だけでなく、巻貝などのかたい殻の貝などを咥えて上空から地面や岩の上に落とし、殻を割って中身を取り出し、食べる、という行動です。
 ただ、カラスがこの「くるみ割り行動」を行う際ですが、場所や状況を選択して行っているように思われます。その辺がカラスの”賢さ”とも言えそうですが…
 ともあれ、私が撮影したカラスの「くるみ割り行動」の連続写真を2例、下に挙げます。

 地下鉄東西線の「国際センター駅」を降りて仙台市博物館に向かっていた時、私を追い越していったカラスが胡桃を咥えていたので追いかけました。
①2017年10月、国際センター敷地内で撮影
 たぶん、国際センター駅近くの広瀬川河畔辺りで見つけた胡桃なのでしょう、枝の上で確かめて咥え直しています。
10月国際センター-10_31_2017-029 (1024x683).jpg10月国際センター-10_31_2017-030 (1024x683).jpg
 再び、胡桃を咥えて飛び立ちました。
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 落とす場所はあらかじめ決めたあったようなのですが、落とす瞬間には間に合わず、その瞬間は撮れていません。
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 下の写真は、落とした胡桃の殻が割れていなかったので、再度咥え直して、飛び立った姿です。
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 今度はうまく殻が割れたようでしたが、ハシブトガラスが現れて、横取りされそうな気配です。
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 安全な場所まで咥えて行き、中身を食べています。
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 次は、川内五十人町の広瀬川河畔の某自動車学校敷地で撮影した写真です。不自然な急降下を繰り返しているカラスを見つけたのでカメラを向けました。
②2016年11月、川内五十人町にて
 不自然な急降下。
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 その先には、自動車学校のコース上に転がる胡桃。
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 イレギュラーバウンドをするので、なかなか追いつけません。
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 この時はうまく割れなかったようで、同じような動作を、少し離れた場所で再び行い、ようやく中身にありついていました。
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 このようなカラスの「くるみ割り行動」は、私は数回目撃しているのですが、何度かこれを見ている内に次第に疑問が沸いてきました。この様に面倒で手間のかかる事をしなくとも、もっと簡単に大量の餌が得られる方法もあるだろうに、という疑問です。
 胡桃1個を割って、さほど多くも無い中身を取り出して食べる、という行為の為だけに、胡桃を割る事が出来る硬い地面、落ちた胡桃が転がっても見失わない広いスペース、人や車、横取り等の邪魔が入らない場所を選ぶという手間、硬い殻を割るために何度も繰り返す飛翔と歩行、こうした行動を行うその執拗さは、単純に採餌行動という括りでは説明しきれないのではないでしょうか。カラスが「賢い動物」ならなおさらそのように思えます。
 私は、これもカラスの「遊び」・「文化行動」のように思えるのです。丁度、人間が有名ラーメン店の行列に並ぶような、「苦労して得たごちそうには価値がある」というような”文化”です。




 因みにの話なのですが、仙台城のカラスはちょっと変わった「くるみ割り行動」をすることで有名でした。車が良く通るコース上に胡桃を置いて、車のタイヤに踏ませることによって胡桃の殻を割る、という行動です。仙台城の大手門から本丸へ上る坂は狭い急坂ですので、車の速度はかなりゆっくり目です。さらに、その車の通るコースは、道幅が狭い事もあって同じような所を通ります。仙台城を縄張りとするカラスはこれを利用したようです。
 ひところ、テレビでも採り上げられ、学界でも報告されるほど有名だったのですが、私はこれを見ていません。この話が出た頃は、私は東京に居て、仙台に戻って来た頃にはこの行動が見られなくなっていたようなのです。
 これは私の推測なのですが、仙台城は1998年度から2003年度までの間、石垣の改修工事が行われており、その間、本丸への車道が通行禁止になっていました。その為に車に胡桃を踏ませることが出来なくなって、この特異な行動は立ち消えになったのかもしれません。





4)カラスの「遊び」
 上の「くるみ割り行動」からも分かるように、カラスは知能が高い動物と言われています。その理由として、カラスの「遊戯行動(遊び)」の観察例もよく挙げられます。
 私もカラスの「遊戯行動」を何度か目撃しているのですが、残念ながら写真に残してあるものがほとんどありません。下の写真は連続写真で撮った数少ない例です。

 歴史民俗資料館での会合に行った際、榴岡公園で見かけたものです。初めは、カラスが雪玉を転がして雪だるまを作っているように見えたので、慌ててカメラを取り出して撮影したのですが…
1月榴岡公園-01_25_2017-087 (1024x683).jpg1月榴岡公園-01_25_2017-088 (1024x683).jpg1月榴岡公園-01_25_2017-089 (1024x683).jpg1月榴岡公園-01_25_2017-090 (1024x683).jpg
 どうやら、転がしていたのは雪玉でなくて小石の様でした。
 この後、カラスは私に気付いたようで、小石を咥えたまま少し離れた処へ行き、再び小石を地面に落として、くちばしで転がしていました。
 なかなか理解しづらい行動で、「遊び」としてしか解釈が出来ません。

 写真は無いのですが、この他私が目撃した2例を下に書いておきます。
・十数年前、当時の赴任先の公園で見かけた例
 カラスが滑り台を滑って遊んでいた。
 二羽のカラスが滑り台の上の手すりに止まっていたのですが、その内の1羽が、羽をばたつけさせながら滑り台を滑って、途中から飛び立ってまた上へ戻り、また滑り降りる、という事を三、四度繰り返していました。
・二十数年前、仙台の北の田舎道で見た例
 カラスが電線で”大車輪”をしていた。
 これは車の中から見たので、短い間の事だったのですが、、、
 田舎道を車で走っていましたら、視線の先でカラスが電線に止まろうとしていました。そんな細い電線に止まれるのかぁ、と思って見ていると、案の定、カラスは電線を掴んだまま逆さまになってしまいました。私は、それ見ろ、と笑いながら見ていたのですが、カラスは羽をばたつかせながら、電線を支点にして一回転、二回転したのです。おお!、と思っている間に通り過ぎてしまったのですが、バックミラーで覗いてみると、再びカラスは同じところに止まろうとしていました。あれは、わざとそうしているとしか思えませんでした。

 この他にも、営巣期以外での「物集め」や、鳩や子猫への執拗な”イジメ”の例など、「遊戯行動」としてしか説明がつかないものを幾つか目撃しています。





5)カラス除けの黄色いネットの話
 前回書いた「カラスと紫外線の話」の補足なのですが…
 前回の記事の中で、『確かカラスは黄色い色が見えにくかったんじゃなかったけ』と書いたのですが、これは私の間違った知識でした。
 この話は、カラス除けの黄色いごみ袋やネットが頭に在って書いた事だったのですが、不完全な知識でした。カラス除けの機能は別に黄色い色に在った訳では無かったのです。カラス除けの機能は、ごみ袋やネットの素材のプラスティックに練り込んだ紫外線領域の光を遮断する特殊な薬剤に在ったのでした。黄色い色は、人間にはその色を透かして袋の内側は見える、という事と、他のごみ袋との違いを分からせるために選ばれた色だったようです。なので、黄色以外のものでもカラス除けの機能を持たせたごみ袋やネットもあるそうです。
 これはカラス除けの機能があるのかどうかはわからなかったのですが、仙台で使われているごみネットです。
5月北六番丁通上杉-05_06_2013-001 (1024x768).jpg
 グリーン色ですね。他の土地でも同様のグリーン色のごみネットをよく見ます。

 何故、紫外線遮断薬剤が練り込まれたごみ袋やネットがカラス除けになるか、ですが、前回話したようにカラスは4色型色覚でして、人間の可視光領域の3原色(赤・緑・青)の光に加え、紫外線領域の光も加えた4原色で色覚を構成しています。そこで、その4原色の一つの紫外線領域の”色”を除いてしまいますと、カラスの色覚は混乱してしまい、物を正常に知覚できなくなってしまうのだそうです。
 私には「そうなのかなあ?」という疑問も残るのですが、カラスの生態の研究で有名な宇都宮大学農学部杉田昭栄教授の説は以上の様なものでした。

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この記事へのコメント

2020年04月23日 23:41
こんばんは。
テレビなら1時間番組が作れるような素晴らしい記事を読ませていただきました。それにしてもカメラの腕も素晴らしいですね。
仙台のカラスのこと勉強になりました。それにしてもカラスの滑り台と大車輪の話は思わず笑ってしまいました。見てみたいし,動画に収めたいです!

2020年04月24日 08:57
ET先生、おはようございます。

 実を言いますと、今回の記事は今までボツにしていたネタを集めて再構成したものだったのです。そのようにお褒めいただくと、かえって恐縮してしまいます。

 そうですね、仕事をしていた時は、カメラを持っていればよかった、と思う事が多々ありまして、リタイア後は、出歩くときには必ずポケットカメラを持つようになりました。それでも撮り逃すことが多いです。