前回の解答

 どうでした?
 内接図形と外接図形を使う、という事に気付けばそれ程難しい事ではなかったと思います。





 それでは解答です。
*使う道具は、これとシャープペンだけ
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  図ひとつだけで示しても良いのですが、分かりやすくするために作図の方法も含めて順を追って示すことにします。

 先ずは「円周率」の定義から確認します。
 「円周率」とは円周の長さと直径の比の事でしたね。
 つまり、
   円周率=円周の長さ÷直径の長さ
です。
 そして、
   直径=半径×2
です。
 この定義を前提として使います。

 さて、提示した問題なのですが、
   3<円周率<4
である事を、図を使って示す事でした。
 と、いうことは、「円周率=円周の長さ÷直径の長さ」という定義を用いるならば、この問題は、「円周の長さは直径の3倍よりも大きく、4倍よりも小さい」という事を図でもって示せればよい、と言い換えが出来ます。円の直径の3倍と4倍の外周を持つ図形を描き、円周と比較できるように並べてみましょう。




 それでは作図に入ります。
 先ずは、コンパスで任意の円を一つ描き、半径の線を書き足します。
*第1図:
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 次に、この半径と同じ長さをコンパスに取り、半径と同じ長さの辺を持つ正三角形を円の内に並べます。
*第2図:
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 円に内接する正六角形が描けましたね。
*図3:
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 で、この正六角形は半径と同じ長さの辺を持つ6個の正三角形から出来ています。と、いうことは、この正六角形の外周の長さは、
   円に内接する正六角形の外周の長さ=半径×6
と、いう事になります。
 先に定義したように、
   半径×2=直径
ですので、この縁に内接した正六角形の外周は、
   円に内接する正六角形の外周の長さ=直径×3
と、書き換えが出来ます。
 さらに、この正六角形は円周と重なっていず、かつ又円周の内側に在るわけですので、
   円周>円に内接する正六角形の外周の長さ
と、なります。
 したがって、
   円周>直径×3
 この不等式の両辺を”直径”で割って、
   円周÷直径>3
      円周÷直径=円周率であるから、
   円周率>3
と、言う答えが出ます。
 円に内接する正六角形の図を描いた時点で、直感的にこの答えが分かるとは思うのですが、一応これが数式での証明になります。



 この方法は「円周率<4」の証明にも使えそうですね。「4より小さい」という事は、直径の4倍の長さの外周を持つ図形を円に外接させれば良い訳です。
 1辺が円の直径の長さの、円に外接する正四角形が描けないでしょうか。

 先ずは、コンパスで円を描き、円の中心を通る直線、つまり直径を付けます。
*図4:
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 次に、三角定義2枚、もしくはコンパスを使って、この直径に直行する2本目の直径を描きます。
*図5:
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 そうしましたら、三角定義2枚を使ってこの直径を平行移動して、直径の線と円周が交わる点を通る接線を引きます。
*図6;
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これを、円周と直径の各交点ごとに繰り返せば、4本の接線で構成された、円に外接する正四角形が描けます。
*図7:
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 この外接する正四角形の1辺と、それに対面する直径の線は、それらによってできる長方形の各内角が各々90度であるので、対面する各辺は合同です。したがって、円に外接する正四角形の各辺は円の直径の長さに等しく、外周の長さは、
   円に外接する正四角形の外周の長さ=円の直径×4
と、なります。
 先と同じ論理で、
   円に外接する正四角形の外周の長さ>円周
ですので、
   円周<直径×4
   円周率<4
と、なります。
 前段と後段の結果をまとめれば、
   3<円周率<4
であることの確認が出来ました。


 したがって、答えの図は以下の通りです。
*解答の図
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 最後に、私がこの問題を思い付いた思考過程なのですが、次のようなものでした。
  ①子供たちに円周率が3より大きい、という事を気付いてもらうにはどうしたらいいだろう?
  ②ラップの芯か何かの円筒に糸を巻き付け、直径と比較してもらうか・・・
  ③でも、子供たちが正確に円筒の直径を出すのは難しそうだなあ。
  ④コンパスで円を描てもらって、円周をコンパスで分割するか?
  ⑤でも、これは円周を直線で分割することになるわけで、結果は6分割になるわけだよなあ…
  ⑥まてよ、これって、”内接する正六角形の辺の和は円周の長さより小さい”って事…
  ⑦つまり、円周率は3よりも大きいという事を示す図形になるのでは!
と、言う過程を経て、後は”4より小さい”という事は外接する正四角形を描ければよいよな、と続いたわけです。
 アイデアは私のオリジナルなのですが、私がすぐに思い付くような事ですので、もう誰かがすでにやっている事でしょうね。

この記事へのコメント

2019年03月16日 06:36
おはようございます。
前回の記事で「ゆとり世代の円周率3」の話については1年ほど前に書いたことがあります。
少数を学習していない段階での学習やおおよその円周や面積を「目的に応じて3を用いて処理」していいという言葉が誤解されたものです。
ある大手塾が学校に任せておいたら,円周率は3と教えられてしまいますよ,とあおったものだから,世間も勘違いしてしまいました。学校現場では絶対そんなことないのにねえ。
こんなふうにあらためて出されると,文系の私は混乱してしまいます(笑)。
2019年03月16日 09:25
ET先生、おはようございます。

 以前いた会社の会議の中で、「ゆとり世代の円周率は3」の話が出たことがありまして、その後”ゆとり世代”の社員2~3人にそのことを確認したのですが、みんな否定していました。「円周率は3.14」と、教わったと言っていました。ただ、試験問題等では「円周率=3」を使って計算したけど、という事でした。
会議の中でそう発言した方は、「今の若い者は物事に真剣に取り組もうとしない」という事を言いたくて、その例を持ち出したようでした。
 しかし、そう言っている我々”大人”だって、実生活ではしばしば「円周率≒3」で計算していることが多いのですけどね(笑)。実生活ではそれで大した支障が起きませんしね。

今回この記事を書いたのは、小学校の高学年くらいの子供たちに「概数を使っての思考」という考え方を経験してもらいたかったからです。もちろん、大人もですが(笑)。いわゆる”アタリをつける”という思考方法です。無理数である「π」がどの位の値であるのかを直感的に感じてほしかったのです。

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